2022年1月4日
3Dプリンターはさまざまな立体物を造形できる装置で、一般的にはスペックと価格帯から家庭用と業務用に分けられます。
家庭用の3Dプリンターはフィギュアやオーナメントなど、おもに個人で楽しむためのものを造形するタイプです。一方、業務用の3Dプリンターはメーカーが製造物のサンプルを作ったり、研究機関が実験用の模型を作ったりするなど、幅広い用途に用いられます。
3Dデータ処理技術や装置内のコンピュータ制御技術の発展により、さまざまな3Dプリンターが開発・販売され、医療や航空などの厳しい基準がある分野でも3Dプリンターを採用するケースが増えてきました。しかし、多くの3Dプリンターのなかから、どれを選べば良いのか迷ってしまう場合も少なくないでしょう。
そこで今回は、家庭用と業務用の違いや、おすすめの3Dプリンターなどを紹介します。
目次
3Dプリンターの概要として、家庭用と業務用の違いや3Dプリンターで作れるものについて解説します。
一言に3Dプリンターといっても、家庭用と業務用の2種類があり、購入方法や機能、造形できる材料やサイズなどのスペックがそれぞれ異なります。
家庭用の3Dプリンターは、大型の家電量販店などでは店頭販売されている場合もありますが、インターネット通販サイトで購入するのが一般的です。
業務用の3Dプリンターは、専門業者が運営するインターネットショップだけでなく、販売会社や取扱代理店に直接問い合わせて購入する場合も多いでしょう。価格帯が高い傾向にあるので、展示会やショールームで実物を事前に確認することが重要です。
家庭用の3Dプリンターにはフリーソフトが使用されるケースが少なくないため、業務用と比べるとやや機能が劣るでしょう。一方、業務用ではプリンターメーカー専用のスライサーソフトが使用されることが多く、多彩な機能が搭載された製品がラインナップされています。
3Dプリンターで作れるものは多岐にわたります。
家庭用の3Dプリンターで作られるのは、おもにフィギュア・オーナメント・記念品など個人的な観賞用や、最近ではDIYや便利グッズです。対して、業務用3Dプリンターは金属製品も製作できるので、研究開発のための試作などを目的に使用されるほか、医療や航空の分野の製品の製造にも用いられています。
例えば、建築用の模型を3Dプリンターで製作して設計段階から活用したり、メーカーが量産する予定の型・原型などを3Dプリンターで製作したりすることなどが挙げられるでしょう。試作品の造形は3Dプリンターの得意分野で、形状確認・カラーマッチング・勘合チェックなどを行なって品質の向上につなげます。
また、医療分野での活用事例としては、口腔内をスキャンしてオーダーメイドの歯列矯正器具を製作したり、手術前のシミュレーションや手術に使われるツールをカスタマイズして手術計画を改善したりすることなどが挙げられます。
3Dプリンターの種類について、造形の方式ごとに特徴とメリットを解説します。
光造形方式とは、液体状の樹脂(レジン)に紫外線を当てて凝固させることで、造形物をプリントアウトする方式です。光造形方式を採用した3Dプリンターは、「光造形機」とも呼ばれます。
光造形方式のメリットは、滑らかで美しい表面を形成しやすいことです。そのため、高いデザイン性が求められるものに適しているでしょう。製作物の例としては、フィギュア・アクセサリー・スマートフォンケース・ネイルチップなどが挙げられます。
熱溶解積層方式とは、熱で素材を溶かして積み上げていくことで設計図どおりに造形する方式で、FDM方式と呼ばれることもあります。
熱溶解積層方式の3Dプリンターでは、おもな素材としてフィラメント(樹脂原料を溶かして糸状にしたもの)が使用され、さまざまな樹脂タイプのフィラメントを織り交ぜて製作することも可能です。そのため、材質が幅広く、色にも豊富なバリエーションがあります。業務用の3Dプリンターでは、金属を練り込んだフィラメントを使用できる機種もあります。
フィラメントを用いて多彩な造形できることが、熱溶解積層方式の大きなメリットでしょう。
インクジェット方式とは、インクジェット(液体状の素材や結合剤)を噴霧し、積層によって造形物を製作する方式です。インクジェット方式は大きく分けて2種類あります。素材そのものを噴霧して固形化する方法と、結合剤を噴霧して固形化する方法です。
インクジェット方式には、細かい積層ピッチによって、微細かつ滑らかな表現が可能というメリットがあります。また、おもな材料として光硬化性樹脂が用いられてきましたが、熱可塑性樹脂や液体金属などが使えるようになってきていることも注目ポイントでしょう。
粉末固着(接着)方式とは、石膏粉末を敷いた上に液体接着剤を噴出して固めることを繰り返し、造形物を製作する方式です。
粉末固着方式のメリットとしては、CMYKインクで着色された接着剤を使用することで、フルカラー造形ができることが挙げられます。また、造形速度が他の方式に比べて比較的速いため、大きなサイズのものでも素早く造形できるでしょう。
これらのメリットを活用し、色の表現が重要となるフィギュアや建築モデルなどに、多く利用されています。
粉末焼結方式とは、樹脂粉末や金属粉末に高出力のレーザー光線を当てて焼結させることで、立体的な造形物を製作する方式です。ステージ上に設置された粉末をレーザーによって樹脂の場合は焼結・硬化、金属の場合は溶融・凝固させ、ステージを下げていく手法を繰り返して造形します
粉末焼結方式のおもな材料は樹脂系のナイロンですが、更に高出力のレーザー光線を用いることでチタン・アルミニウム・ステンレスなどの金属素材も使用できるのが特徴です。
なお、上述の通り、金属素材の場合は粉末を焼結(Sintering)ではなく、溶融(Fusion)することには注意が必要です。
粉末焼結方式には、造形物の耐久性が高い、複雑な構造にも対応しやすいなどのメリットがあります。また、樹脂の場合はサポート材が不要なので取り除き作業をする必要はありませんが、金属の場合は凝固時の収縮応力を緩和するためにサポート材が必要です。
一般的な3Dプリンターの使い方ついて、順を追って解説します。
まずは、3DCADソフトや2DCADソフトなどを用いて、造形データを作成しましょう。
3DCADソフトを使ってモデリングする場合、どのような造形物でも自由に設計できるのがメリットです。3DCADソフトの操作方法を覚えなければなりませんが、慣れてしまえば造形データの手直しもスムーズになるので、可能であれば覚えることをおすすめします。
2DCADソフトは比較的に操作が簡単ですが、精緻なモデリングが求められる造形においては、機械設計を専門とする3DCADを使用するのが望ましいでしょう。
ソフトでデータを作成したあとは、STLデータに出力して確認しましょう。
3Dデータは各ソフトが指定した形式で保存されるため、一般的な3Dプリンターで使用するには、STL形式と呼ばれる汎用的なデータ形式に変換しなければなりません。
(STLデータについてはこちらをご参照)
ただし、STL形式は汎用性が高い反面、整合性のないデータまで立体形状に生成してしまうデメリットがあります。そのため、出力されたSTLデータの整合性を事前に確認する作業が必要です。
STLデータの確認が完了したら、次は3Dプリンターに出力するためのデータに変換しましょう。これにより、正確な造形が可能になります。
3Dプリンターにはさまざまな出力方式がありますが、一般的に使用されるのは、スライスソフト(スライサーソフト)を用いて造形ツールパスデータに変換する方法です。
ただし、3Dプリンターによって造形ツールパスデータの形式が異なるので、それぞれに適したスライスソフトを使用しなければなりません。
3Dプリンターを購入する際は、専用のスライスソフトも併せて用意しておくか、専用のスライスソフトが付属したタイプを選びましょう。
3Dプリンター用にデータを変換したら、実際に3Dプリンターで造形しましょう。
造形方法としては、パソコンに接続して造形する方法と3Dプリンターの操作パネルから造形する方法があります。
ハイレンジの3Dプリンターにおいては、パソコンと接続して造形する方式がほとんどでしょう。一方、業務用の金属3Dプリンターの多くは、装置と制御用のコンピューターが一体化しています。
3Dプリンターによる造形物には、形状を保持して変形を防ぐための副材であるサポート材が付着しているのが一般的です。3Dプリンターの造形が完了したら、後工程としてサポート材を除去する作業をしましょう。
サポート材を除去する方法としては、素手や工具で物理的に剥離する方法と、一部の樹脂であれば専用の液で溶かして剥離するという方法もあります。
おすすめの3Dプリンターを21種類紹介します。家庭用と業務用に分けて紹介するので、ぜひ3Dプリンター選びの参考にしてください。
まずは家庭用の3Dプリンターのなかから、おすすめのモデルを紹介します。
特許取得のエクストルーダーによって、不均一な押出や詰まりなどの不具合を大幅に軽減した3Dプリンターです。同じく特許技術によるV形のPOMホイールは、低騒音で耐摩耗性を備えており、ノズルがスムーズに動作するようにサポートします。
また、やわらかい磁気シートによってモデルの取り外しが簡単にできるソフトマグネットシートや、ホットベッドを急速に温められるスイッチング電源を搭載しており、利便性が良いのも魅力です。さらに、プリントの途中で停電になってもすぐに再開できる、停電復帰機能もあります。
六角レンチ・六角スパナ・ドライバー・ノズルクリーナーなど、各種のツールが付属していて組立も簡単で、すぐに造形を始められるでしょう。
メーカー名 | Creality |
機種名 | Ender 3 pro |
用途 | 家庭用 |
造形方式 | FDM |
造形サイズ | 220 x 220 x 250mm |
対応材料 | 熱可塑性樹脂(PLA/TPU/ABS など) |
レベル | エントリー |
価格 | 約30,000円 |
手のひらサイズのコンパクトボディが特徴の3Dプリンターです。「コペン」とは、フランス語で友達・相棒・仲間などを指す言葉であり、「いつも近くにいてくれる楽しい相棒として使ってもらいたい」という願いが込められています。
装備や機能を必要なものだけに厳選し、シンプルな操作で楽しめるので3Dプリンターの初心者にも使いやすいでしょう。
3Dプリンターとしては圧倒的に小さくて軽いため、家庭・学校・イベント会場など、シーンを選ばず手軽に使えるのがメリットです。
メーカー名 | Ninjabot |
機種名 | Copain |
用途 | 家庭用 |
造形方式 | FDM |
造形サイズ | 84 x 104 x 110mm |
対応材料 | 熱可塑性樹脂(PLA/TPU/ABS など) |
レベル | エントリー |
価格 | 約50,000円 |
独立した2種類のステンレス製ノズルを採用することで、豊富な素材のプリントが可能な3Dプリンターです。高性能モータードライバーによる騒音の抑制など、造形環境を最適化する各種機能にも優れています。
造形が完了するまでに時間がかかる場合、造形の現場で監視を続けると時間のロスが多くなるでしょう。その点、この製品には造形のプロセスを遠隔で監視するためのカメラが搭載されているので、パソコンやスマートフォンにアプリをインストールするだけで、造形の進行状況を把握できます。
また、面倒なキャリブレーションが不要になる特許取得済みのエクストルーダーや、フィラメント切れを防止する検出機能もあり、造形作業の効率化が実現可能です。
また、この価格帯で金属フィラメントにも対応しているのが特徴です。
メーカー名 | FLASHFORGE |
機種名 | Creator Pro2 |
用途 | 家庭用 |
造形方式 | FDM |
造形サイズ | 200 x 148 x 150mm |
対応材料 | 熱可塑性樹脂(PLA/TPU/ABS など)、金属(SUS316L) |
レベル | エントリー |
価格 | 約83,000円 |
カーボンフィルターやゴムパッキンなどを使用し、造形時に発生する匂いを軽減した3Dプリンターです。
プリンターの本体にカーボンフィルターを導入することで、レジンが発する匂いの影響を軽減し、快適な造形環境を実現します。さらに、カバー部分にゴムパッキンを追加することで本体とカバーの密度を改善したため、不快な匂いが漏れにくくなっているのもメリットです。
また、滑らかで安定した動きを実現するMGNリニアレールの採用や、改良型のUV光によるプリント速度の向上で、緻密さや滑らかさが重要なものにも対応できるでしょう。
耐久性に優れたCNCアルミニウムのボディや長期間レベリングの調整が不要になる六角穴付きボルトなど、安定した造形環境を実現するための工夫が随所に施されているのもポイントです。
メーカー名 | ELEGOO |
機種名 | MARS 3 |
用途 | 家庭用 |
造形方式 | 光造形 |
造形サイズ | 143 x 89 x 165mm |
対応材料 | 紫外線樹脂 |
レベル | エントリー |
価格 | 約58,000円 |
組立の手間がかからず簡単に操作できる、デスクトップ型の3Dプリンターです。
2重のベアリングを搭載したことで潤滑性・耐摩耗性が向上し、印刷詰まりの減少と印刷精度の向上を実現しました。さらに、X軸とY軸にモータードライブを装備しているため、モーターがよりスムーズに動作し静かなプリントが可能です。
加えて、プリントヘッドのファンをアップグレードして振動が軽減されたことで、プリント時の安定性も向上しています。
ホットベッドとプラットフォームが分離式になっており、交換作業が簡単にできたり、LEDライトによって造形物の進捗度合いを確認しやすかったりするのも、うれしいポイントでしょう。
メーカー名 | ANYCUBIC |
機種名 | 4Max Pro 2.0 |
用途 | 家庭用 |
造形方式 | FDM |
造形サイズ | 270 x 210 x 190mm |
対応材料 | 熱可塑性樹脂(PLA/TPU/ABS など) |
レベル | エントリー |
価格 | 約60,000円 |
樹脂を高速で硬化させることにより、素早い造形が可能な3Dプリンターです。独自のParaLED技術(並列UVによるLEDマトリックスバックライトシステム)を採用し、ビルドプラットフォーム全体で高品質なプリント精度を備えています。
タッチパネルをクリックすることで、オンラインだけでなくオフラインでのプリントも可能なので、インターネット環境が不安定な場所でも安心して作業できるでしょう。また、LCD樹脂だけでなく、ほとんどのDLP樹脂に対応しており、他社製品の樹脂を使いやすいこともメリットです。
ビルドプラットフォームを取り付けて、樹脂バットを固定するだけの簡単な操作なので、短時間でプリントを開始できます。
メーカー名 | Phrozen |
機種名 | Sonic Mini 8K |
用途 | 家庭用 |
造形方式 | 光造形 |
造形サイズ | 165 x 72 x 180mm |
対応材料 | 紫外線樹脂 |
レベル | エントリー |
価格 | 約79,800円 |
さまざまなフィラメントに対応することで、多彩なプリントが可能な3Dプリンターです。多くの他社製フィラメントに対応し、スライサーソフトでパラメータを設定するだけで簡単にプリントできます。
カートリッジケース式のフィラメントに対応しており、チップをケースの底に取り付けると、フィラメントの種類や残量などを読み込んで最適なパラメータを自動設定するので手間がかかりません。
また、オートキャリブレーション機能付きで、簡単に水平調整ができるのも魅力です。プリンターが自動的に検知した水平度をモニターに表示してくれるので、微調整もしやすいでしょう。
メーカー名 | XYZプリンティング |
機種名 | ダヴィンチ 1.0 pro |
用途 | 家庭用 |
造形方式 | FDM |
造形サイズ | 200 x 200 x 200mm |
対応材料 | 熱可塑性樹脂(PLA/ABS/PETGなど) |
レベル | スタンダード |
価格 | 約95,000円 |
手軽で使いやすいのが特徴の3Dプリンターです。静音性が高く、HEPAエアーフィルター搭載で安全性にも優れているため、自宅での使用はもちろん、教室やオフィスなどの環境にも適しています。
操作も容易なので、初心者向けの導入機や学校での学習用など、これまで3Dプリンターに触ったことがない方にも扱いやすいでしょう。また、有線でローカルエリアネットワークに接続でき、USBやLAN経由によって複数のユーザーが異なるデバイスから印刷ジョブを送信できるのもメリットです。
プリンターは完成した状態で出荷され、必要な工具や材料などが同梱されているので、手元に届いた日からすぐに使用できます。
メーカー名 | アフィニア(AFINIA) |
機種名 | H400+ |
用途 | 家庭用 |
造形方式 | FDM |
造形サイズ | 120 x 120 x 120mm |
対応材料 | 熱可塑性樹脂(PLA/ABS/PC など) |
レベル | スタンダード |
価格 | 約110,000円 |
複数の樹脂を使用して造形する機能に優れた3Dプリンターです。ヒーテッドベッドを標準装備することで、PLA樹脂のほかにABS樹脂による造形にも対応しています。
また、造形に欠かせない作業である、フィラメントの交換作業を行ないやすくする機能が充実しているのもメリットです。フィラメント切れを検出する機能を搭載しているため、切れると造形が自動的に一時停止されます。樹脂を交換したあとに再スタートできるので、造形を中断する手間が省けるでしょう。
さらに、停電や操作ミスなど、プリント中に何らかの理由で電源が切れた場合は、再起動することで素早くプリントを再開できる停電回復機能も付いています。
メーカー名 | FLASHFORGE |
機種名 | GuiderII |
用途 | 家庭用 |
造形方式 | FDM |
造形サイズ | 280 x 250 x 300mm |
対応材料 | 熱可塑性樹脂(PLA/TPU/ABS など) |
レベル | スタンダード |
価格 | 約138,000円 |
高性能の機体に、同じく高性能な3Dソフトが付属している、コストパフォーマンスに優れた3Dプリンターです。マットブラックを基調とした落ち着きのあるボディに、ゴールドのラインがアクセントとして施された、スタイリッシュなデザインが目を引きます。
3Dプリンター本体だけでなく、通常は有料で販売されている3Dソフトのフルバーションが付属しているので、より複雑な造形もすぐに楽しめるのがメリットです。高品質な造形が手軽に楽しめるため、プロトタイピング・医療・教育など、さまざまな場面で役立つでしょう。
落ち着いた質感のボディ内部には、高強度フレームを採用して作業時のゆれや振動を軽減しつつ、前面トビラにすることで安全面も配慮されています。
メーカー名 | Moment |
機種名 | Moment S |
用途 | 家庭用 |
造形方式 | FDM |
造形サイズ | 145 x 145 x 160mm |
対応材料 | 熱可塑性樹脂(PLA/TPU/ABS など) |
レベル | ハイエンド |
価格 | 約350,000円 |
独自のインクジェット技術により、高品質かつ高速なフルカラー3Dプリントを実現した3Dプリンターです。
リール式のフィラメントチップを採用しており、フィラメントリールの中央に設置するだけで、プリンターがフィラメントの種類や残量などのデータを読み込みます。また、耐水性の高いインクを使用しているので、モデルを洗浄する際に色落ちを心配する必要もありません。
さらに、プリント前にタッチパネルを操作するだけで、簡単に水平校正機能が実行できるのもポイントです。プラットフォームの下部に水平校正モーターモジュールがセットされており、自動でプラットフォームの各ポイントの高さを調整し水平を保ちます。
メーカー名 | XYZプリンティング |
機種名 | ダヴィンチ Color |
用途 | 家庭用 |
造形方式 | FDM |
造形サイズ | 150 x 200 x 200mm |
対応材料 | 熱可塑性樹脂(PLA/ABS/PETGなど) |
レベル | ハイエンド |
価格 | 約500,000円 |
大規模な密閉型ビルド環境を有し、大きな部品の造形に適した3Dプリンターです。本体設計にはアルミニウム製のフレーム、ユニット化されたビルドプラットフォーム、モノコック構造などを採用し、重量を抑えながら強度を最大限引き出しています。
また、独自のPartSaveテクノロジーを採用しているため、どのようなときでも素早く開始・停止・再開などの動作が可能です。プリンターに不具合が発生した場合や、停電などで電源が切れてしまった場合などに、造形の失敗によるロスを防止できるでしょう。
プリンターを静止させていた時間の長短に関わらず準備ができたらすぐに作業を再開できるので、スピーディーに造形を楽しめるのも魅力です。また、金属フィラメントにも対応しているのが特徴です。
メーカー名 | AirWolf 3D |
機種名 | EVO |
用途 | 家庭用 |
造形方式 | FDM |
造形サイズ | 305 x 305 x 280mm |
対応材料 | 熱可塑性樹脂(PLA/ABS/PCなど)、金属(SUS316L) |
レベル | ハイエンド |
価格 | 約1,350,000円 |
業務用の3Dプリンターのなかから、特におすすめのモデルを紹介します。
瞬間切り替え式のデュアルヘッドを採用した3Dプリンターです。
造形中に2つのノズルが自動で昇降するので安定性が高く、大型の造形物にも対応できます。高品質と高精度を両立させるために独自のモーションシステムを採用しており、正確な造形をしやすいのも魅力です。
また、大型のタッチスクリーンを採用し、進捗状況の把握や造形モデルの選択などが簡単な操作で行なえます。さらに、独自開発したソフトウェアによって取り外しやすいように設計されたサポート部分が自動的に生成されるので、後工程にかかる時間も短縮できるでしょう。
専門スタッフによる修理対応や部品交換、自分でメンテナンスをするための定期的なセミナーの開催など、アフターサポートも充実しているため購入後も安心です。
メーカー名 | Raise3D |
機種名 | Pro2 |
用途 | 業務用 |
造形方式 | FDM |
造形サイズ | 305 x 305 x 300mm |
対応材料 | 熱可塑性樹脂(PLA/ABS など) |
レベル | スタンダード |
価格 | 約620,000円 |
この3Dプリンターには、独自開発の光造形システムが搭載されています。光造形システムにはレーザーとミラーを包含したLPUを使用し、造形の緻密さとスピーディーさの両立を実現しています。
また、モジュール式のコンポーネントにLPUを採用し、レーザースポットがより正確で高密度になったこともポイントです。これにより、プリントの再現性が高まり、作業効率の向上が期待できます。
さらに、ライトタッチサポート機能の搭載により、従来と比べて造形物とサポートの接点が小さくなったため、容易にサポートを除去でき、パーツ表面も滑らかになるでしょう。
プリント後の処理工程が自動化されているので、時間や手間をかけずに高品質なパーツを造形できるのも魅力です。
メーカー名 | Formlabs |
機種名 | Form3 |
用途 | 業務用 |
造形方式 | 光造形 |
造形サイズ | 145 x 145 x 185mm |
対応材料 | 紫外線樹脂 |
レベル | スタンダード |
価格 | 約641,000円 |
独自の樹脂素材を使用することで、強度と美しい仕上がりを誇る3Dプリンターです。簡単な操作で、図面の取り込みやスライスデータの作成ができるソフトも無料で提供され、サポート体制も充実しています。
Onyx Oneは性能がシンプルなため、3Dプリンターを初めて購入する方におすすめです。機能がシンプルといっても、独自の樹脂素材での造形物にはABS樹脂に比べて約2倍の強度があり、パーツ表面も滑らかに仕上がる特徴があります。
Onyx Oneが物足りないと感じる場合は、Onyx Proがよいでしょう。独自の樹脂素材に加えてファイバーグラスを使用できるので、造形物に樹脂のみとは異なる機能性を持たせることができます。また、樹脂材料のトラブル検知機能も搭載しており、安全性に優れているのもメリットです。
メーカー名 | Markforged |
機種名 | Onyx One/Pro |
用途 | 業務用 |
造形方式 | FDM |
造形サイズ | 320 x 132 x 154mm |
対応材料 | 繊維強化樹脂(ファイバーグラス、カーボンファイバー、ケプラーなど) |
レベル | スタンダード |
価格 | 約1,000,000円 |
カーボンファイバーに対応しており、頑丈で軽量なツールを製作したい場合に便利な3Dプリンターです。軟質熱可塑性ポリウレタン樹脂や静電気拡散性ABS樹脂など、豊富な種類の素材を使用できるので、造形物の色や機能性などを用途に合わせて選べるでしょう。
素材によっては積層を複数選択できるため、製造モデルの精度をさらに高めたり、プリントに必要な時間を短縮したりするなど、品質の向上や作業の効率化が期待できます。治具・固定具・製造補助具の製造に特に適しており、現場の生産性が上げられるほか、現場作業者にとって利便性が高いのも魅力です。
また、F170のシステムは、教育現場向けの3Dプリンターとしても適しています。操作が簡単なうえに安全機能が組み込まれているので、製造や設計など、学生がキャリア形成に必要となるスキルを学ぶ教材としても優秀でしょう。
メーカー名 | Stratasys |
機種名 | Stratasys F170 |
用途 | 業務用 |
造形方式 | FDM |
造形サイズ | 254 x 254 x 254mm |
対応材料 | 熱可塑性樹脂(PLA/TPU/ABS/ASA など) |
レベル | スタンダード |
価格 | 約3,500,000円 |
ミクロンレベルの繊細な光造形が可能な3Dプリンターです。光や酸素を透過する特殊なウィンドウを採用することで、光と酸素の流量を効果的に制御し、精度の高い造形がスムーズに行えます。
プラットフォームの移動など、造形のスピードを削いでしまうような静止動作が不要で、連続したシーケンスによるUV硬化が可能です。それにより、積層跡を持たない精細な光造形ができることが大きなメリットでしょう。
歯科用レジンをはじめ、多様な素材に対応しているため、工業製品から医療品までさまざまな用途で活用できます。
メーカー名 | Carbon |
機種名 | M1 |
用途 | 業務用 |
造形方式 | 光造形 |
造形サイズ | 141 x 79 x 326mm |
対応材料 | 紫外線樹脂 |
レベル | ハイエンド |
価格 | 約4,500,000円(年間) |
頑丈な樹脂製のパーツを造形できるデスクトップタイプの3Dプリンターです。一体型のアルミフレームを採用しており、自動車などに用いられる頑丈なパーツであっても確実に造形できます。
また、樹脂・ナイロン・カーボンファイバーなどさまざまな素材に対応し、幅広い用途に活用できるのもメリットです。焼き固め押出システムにより、長時間のプリントにも耐えられるため、繁忙期などで稼働時間が長くなっても安心して使用できるでしょう。
さらに、操作と保守を簡単にできる親切設計を採用しているのも魅力です。ノズルや供給管などの摩耗部品から、取り外して交換できるプリントヘッドまで、さまざまな部品において使いやすさが重視されています。
メーカー名 | Markforged |
機種名 | Mark Two |
用途 | 業務用 |
造形方式 | FDM |
造形サイズ | 320 x 132 x 154mm |
対応材料 | 繊維強化樹脂(ファイバーグラス、カーボンファイバー、ケプラーなど) |
レベル | スタンダード |
価格 | 約5,000,000円 |
電子ビームをエネルギー源として金属素材を造形するため、真空で動作するのが特徴の3Dプリンターです。金属パウダーを敷き詰めて溶融・固化させることで、繊細な層を積み重ねて造形します。それによって、ラティスをはじめとする3Dプリンターならではの細密な構造を金属でも容易に造形することが可能です。
また、金属を溶かすために高出力な電子ビームを採用し、金属パウダーに高いエネルギーを供給できるため、高融点素材の造形を得意とします。(電子ビーム方式とレーザー方式の違いはこちら)
真空は清潔で制御された環境であり、かつ酸化等のリスクを最小限に抑えられるので、大学や研究機関などで使用するのに適しているでしょう。大学・研究機関向けに、マシンソフトウェアでより多くの機械やプロセスパラメータ設定を制御できるモードが提供されているのも魅力です。
メーカー名 | Arcam EBM |
機種名 | Arcam A2X |
用途 | 業務用 |
造形方式 | EB-PBF |
造形サイズ | 200 x 200 x 380mm |
対応材料 | 金属(チタン合金、ニッケル基合金など) |
レベル | ハイエンド |
価格 | 約120,000,000円 |
さまざまな金属素材を溶融して造形できる3Dプリンターにおいて、高精度のファイバーレーザーを採用することで実現した、高いパフォーマンスと安定性が特徴です。
レーザーのフォーカス径が小さいため造形の品質が高く、形状の再現性にも優れています。可変性のあるフォーカスで、生産性の向上やプロセス制御の効率化も期待できるでしょう。
また、工業用の素材を最適化することで精度と解像度が高まり、表面品質に優れた高密度の部品を製作しやすいのもメリットです。複雑な構造物を3Dデータから高い再現性でダイレクトに製作できるので、生体親和性が要求される医療機器の造形にも適しています。
その他にも、金型を製造する際に3次元水管を配置することで、樹脂成形のサイクルタイムを短縮しつつ、成形部品の品質向上を図ることもこの装置の活用法の一つです。
メーカー名 | EOS |
機種名 | M290 |
用途 | 業務用 |
造形方式 | LB-PBF |
造形サイズ | 250 x 250 x 325mm |
対応材料 | 金属(ステンレス、アルミ合金、ニッケル基合金、マルエージ鋼など) |
レベル | ハイエンド |
価格 | 約85,000,000円 |
ドイツのメーカーが開発した金属造形用の3Dプリンターです。電機大手のGEグループ傘下となり、システム・コンポーネントの見直しや、長期のテスト期間を設けたことで、安定した生産性を実現しています。
レーザーやガスフローなどの各種コンポーネントを改良したことで、 造形パーツの品質を向上させています。また、複数のレーザーを搭載するタイプもラインナップされ、マルチレーザーのステッチングの改善により品質を保ったまま生産性を向上させています。
これらによって高品質な造形が可能なため、航空宇宙産業や医療機器産業などの高度な規制に対応しなければならない企業のニーズにも対応できるでしょう。
また、複数の内部センサーによる造形スペースの把握・制御や、周囲の温度変化を制御する冷却システム、粉末床の状態などをモニタリングするシステムなどによって、造形環境を最適化しやすい点もメリットです。
メーカー名 | Concept Laser |
機種名 | Concept Laser M2 |
用途 | 業務用 |
造形方式 | LB-PBF |
造形サイズ | 245 x 245 x 350mm |
対応材料 | 金属(ステンレス、アルミ合金、ニッケル基合金、マルエージ鋼など) |
レベル | ハイエンド |
価格 | 約80,000,000円 |
3Dプリンターは家庭用と業務用の2種類があり、購入方法や機能、造形できるサイズなどに違いがあります。家庭用の3Dプリンターで製作するのは、フィギュアやオーナメントなど、おもに個人が趣味として造形することをメインとするものです。
対して、業務用の3Dプリンターは、メーカーの試作、大学や研究機関での模型の製作など、さまざまな用途で用いられます。技術の発展により、医療分野や航空分野などの認証制度や規制が厳しい分野においても、3Dプリンターによる造形物が採用されるケースが少なくありません。
また、3Dプリンターのプリント方式には、光造形方式や熱溶解積層方式のほか、インクジェット方式や粉末焼結方式/粉末溶融方式などがあり、用いる素材も樹脂と金属の2種類があります。
独自の技術によって利便性を向上させたものや、マルチレーザーで高品質の造形を可能にしたものなど、3Dプリンターのモデルはさまざまです。用途や好みに合ったお気に入りの3Dプリンターを、探してみてはいかがでしょうか。