「金属積層造形の活用の切り口 ~その2.ヒートシンクについてご紹介!~」

2024年8月30日

金属積層のニーズやトレンドにつき、事例を交えて紹介していく本コラム。今回は、ヒートシンクについてご紹介します。

ヒートシンクとは

ヒートシンクは、電子機器で発生する熱を効率的に放散するための部品のことです。特に、CPUなどの高性能な部品が発熱しやすいため、これらの冷却に欠かせない存在で、自動車やエアコン、冷蔵庫などの家庭用電化製品にも幅広く利用されています。

ヒートシンクの需要は、電子機器の性能向上に伴い、ますます増加しており、デバイスの寿命を延ばし、安定した動作を維持することができるのです。素材には主にアルミニウムや銅が使われ、表面積を広げるためにフィンと呼ばれる突起が多く設けられていることが多いです。

これまで、板金、切削、鋳造などの従来工法が基本でしたが、これでは製造上の制約が多く、どうしても単純な形状に留まることが多かったヒートシンク。加工でも、ろう付けや溶接などが必要なことから、金属積層造形の活用が広がっており、より複雑な形状による効率的な放散が実現できています。

特に、需要分野として期待されているパワー半導体の分野では、高性能化に伴い放熱効率の向上が強く求められており、従来工法では難しかったラティス形状(格子構造)やポーラス金属体(多孔質構造)を一体形状で造形できることから、金属間の境界が存在せずに、高効率で熱交換が可能となっています。

ラティス構造とポーラス金属体の特徴とは

ラティス構造とポーラス金属体の特徴は以下があげられます。

◆軽量化

ラティス構造は強度を保ちながら軽量化が可能であり、これにより冷却システム全体の効率が向上します。

◆表面積の増加

複雑な内部構造を持つため、表面積が大幅に増加することで、熱を効率的に放散することができます。

◆通気性の向上

これらの構造は空気の流れを促進し、冷却効果を高めます。特に、ポーラス金属体の多孔質であるため、空気が通りやすくなります。

また、フラット形状であれば、鍛造品の板材に継ぎ足すように造形することも可能であり、リードタイムの大幅な短縮が可能です。

但し、ラティス形状やポーラス金属体の活用が必ずしも従来形状よりも冷却効率が高くなるということでもなく、冷却媒体の流れなど、構造に関するノウハウを複合的に組み合わせることが重要とされています。

まとめ

今回は、現代社会のあらゆるシーンに活用されているデバイスにまつわるヒートシンクに対する積層造形の働きについてご紹介しました。身のまわりにあるデバイスにも、積層造形の技術の活用が広がりつつあるようです。

次回をお楽しみに。

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