「金属積層造形の活用の切り口 ~その1. リバースエンジニアリング~」

2024年7月8日

金属積層のニーズやトレンドにつき、事例を交えて紹介していく本コラム。初回は、リバースエンジニアリングです。

リバースエンジニアリング

リバースエンジニアリング(英: reverse engineering)は、実際に存在する機械を分解したり、製品の動作を観察・解析するなどして、製品の構造を分析し、そこから製造方法や動作原理、設計図などの仕様やソースコードなどを調査するもので、この領域にも積層造形技術の活用が広がっています。

旧車、古い鉄道車両や機械装置等の部品を再生しようとしても、部品メーカーの廃業や、図面や金型の再製作など、部品再生が容易でないことが多々ありますが、そんな時こそ、金属AM技術の登場です。既存部品を3Dスキャナーで測定し、スキャンデータから作成した3Dデータに元に、金属3Dプリンターで造形することで、古い部品を再生させることができるのです。

事例紹介:路面電車

当社で実際に手掛けた事例を紹介します。例えば、路面電車です。この路面電車の部品である方向制御装置「逆転空気シリンダー」を3Dスキャナーで測定し、スキャンデータから作成した3Dデータを元に、金属3Dプリンターで再生させました。しかも、形状を同じにするだけではありません。元の部品は鋳鉄製でしたが、チタン合金を採用。実に40%以上の軽量化と、耐蝕性の改善にもつながりました。

路面電車やクラシックカーなどは、製造されてから数十年経過しており、さまざまな理由から各部品の図面が残っていないことが多く、部品交換が容易でない事例が多いと聞きます。また、一部品の再生の為だけに金型を製作するのは、経済的にも大きな負担ですね。

古い部品が再生されることで、その機能が蘇り、新たな価値を生み出す。積層造形の技術は、そんな古さと新しさをつなぐ役割も果たします。

次回は、ヒートシンクを紹介します。

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