「金属積層造形におけるPREP粉末の重要性」 〜疲労強度と粉末品質について〜

金属3Dプリンターは、従来の製造方法では難しかった複雑形状や軽量化を可能にする革新的な技術です。
しかし、その性能を最大限に引き出すためには、原料となる金属粉末の品質が重要な鍵を握っています。
特に、航空宇宙や医療、自動車など、高い信頼性が求められる分野では、粉末の選定が製品の安全性に直結します。

日本積層造形株式会社(JAMPT)は、国内で数少ない、プラズマ回転電極法(PREP)による高品質な金属粉末の製造技術を保有しています。PREP粉末は、ガス欠陥がなく、真球度が高く、サテライト付着がほぼないため、造形の安定性や疲労特性において従来粉末を大きく上回ります。
さらに、当社ではPREP粉末を活用した造形条件の最適化により、HIP処理を省略できる高効率な製造プロセスを実現しています。

PREP特設サイト

今回の技術コラムでは、金属積層造形におけるPREP粉末の重要性と、その優れた特性がもたらす製造業の未来について、わかりやすく解説します。
当社の強みである「粉末製造から造形までの一貫対応」を通じて、次世代のものづくりにどのような価値を提供できるのか、ぜひご覧ください。

PREP粉末・表面

1. 金属積層造形とは?その革新性

金属積層造形(Additive Manufacturing, AM)は、従来の製造方法では難しかった複雑な形状や軽量化を可能にする革新的な技術です。
航空宇宙、自動車、医療など、性能と信頼性が求められる分野で急速に普及しています。
この技術の最大の特徴は、金型を使わずに金属粉末を熱で溶かし、層を積み重ねて部品を造形できることです。設計の自由度が高く、資源を無駄にしないため、環境負荷の低減にも貢献します。

Additive Manufacturing(積層造形)とは?技術コラム

2. 金属積層造形の性能を左右する「粉末品質」

この技術の性能を最大限に引き出すためには、原料粉末の品質が重要です。
積層造形では、粉末の形状や内部の欠陥が部品の強度や耐久性に直結します。
特に航空機や医療機器では、疲労特性(繰り返し使用に耐える強さ)が安全性に直結するため、粉末選びは極めて重要だと考えます。

3. PREP粉末とは?その特徴

ここで注目されるのが「PREP粉末」です。
PREPとは「プラズマ回転電極法」の略で、金属棒をプラズマで溶かしながら高速回転させ、遠心力で飛び散った溶融金属を球状に固める製法です。

PREP法の原理の図

この方法で作られた粉末は、従来のプラズマアトマイズ(PA)粉末と比べて、内部にガスポア(微小な空隙)がほとんどありません。さらに、真球度が高く、表面にサテライト(微小な付着粒子)がないため、造形時の流動性や積層精度が向上します。

PREP法(プラズマ回転電極法)について

4. 実験結果が示す高い疲労強度

東北大学の千葉晶彦名誉教授らが行ったTi-6Al-4V合金を使った試験では、PREP粉末で造形した部品は、熱処理をしなくても非常に高い疲労強度を示しました。
一方、PA粉末で造形した部品は、ガスポアが原因で強度が低く、改善のために「HIP処理」(高温・高圧で空隙を潰す工程)が必要でした。
しかしHIP処理をしても、PREP粉末の性能には及びませんでした。さらに驚くべきことに、PREP粉末で造形した部品にHIP処理を加えると、逆に強度が下がる現象も確認されています。
これは、もともと欠陥がないため、処理によって組織が粗くなり、性能が低下するためです。

東北大学千葉特任教授メッセージ

5. 製造効率とコスト削減への貢献

この結果から、PREP粉末は「HIP処理なしで高性能」を実現できることが分かります。
つまり、製造工程を簡略化し、コストを削減しながら、信頼性の高い部品を作れるということです。さらに、ガスポアがないことで造形精度や仕上がり品質も向上する可能性があります。

まとめ

もちろん、課題も残っています。例えば、造形条件の最適化や未溶融欠陥の防止などです。
しかし、AIや機械学習を使った条件設定の自動化が進めば、さらに性能を高めることができるでしょう。

PREP粉末は金属積層造形における「ゲームチェンジャー」です。
高い疲労特性、工程の簡略化、コスト削減というメリットを兼ね備え、航空宇宙や医療、自動車など、厳しい品質要求がある分野で大きな可能性を秘めています。

日本積層造形株式会社(JAMPT)は、このPREP粉末を自社で製造できる国内で数少ない企業として、粉末開発から造形まで一貫対応する体制を整えています。
今後、この技術の普及が、製造業の未来を大きく変える鍵になると考えられます。

PREP粉末の製造に関して詳細をご希望の場合は、お問合せ先メール(クリックをするとメールソフトが立ち上がります) までお気軽にお問合せください。


お問合せフォームからのご相談はこちらから